世界の終わり。
時計を見ると5時を指していた
テレビから
「おはようございます」と聞こえたので
今日は本当に朝のようだ
僕はキッチンに向かって
ヤカンを火にかけた
お湯が沸くまでの間
昨日の続きを思い出す事にしよう
そうだ。
僕たちは電車に揺られていた
ゆっくりと走る電車が進む度に
空はどんどんと暗くなり
乗客もひとりふたり消えていった
「なあ。この世界で一番大切なものが何か知ってるか?」
タケシはじっと窓の外を見つめる
「わかんないすね。愛とか?」
「あはは。そうじゃないんだ。
一番大切なものは金でも愛でもない」
「……?」
「それはな。色気だよ。」