◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆
それは、懐かしい…少し小さめの文字。
好きだった女の字。
「・・・奈々。」
奈々の字だ。
忘れたはずの字。なのに、一目で分かった。
………奈々の字だって。
封筒の中身…それは…
「…結婚御披露目パーティー…?」
俺は、金色で輝くその文字を見つめた。
新郎新婦の名前を見て、胸が締め付けられる。
新郎,高倉 省吾
新婦,稲森 奈々
かつての親友…
そして、
かつて愛した女…
しばらく招待状を握りしめながら、俺はソファーで俯いていた。