◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆



今思えば、その頃から…奈々のなかでも何かが変わってきていたのかもしれない。



そんな大事なことに全く気づかない、愚鈍な俺。



奈々の変化に気づき始めたのは、俺が教師になって初めて担任クラスをもった頃からだった。



何もかも初めてで、毎日試行錯誤の日々。



クラスをもって初めて感じた。


生徒一人一人について…もっと見ていかないといけないって。



いじめはないにしても、よく見ると…クラスに馴染めず孤立している生徒がいた。



その生徒は家庭に少し問題があったり、クラスの女子と何度かぶつかったり。



俺は、その生徒のために何ができるか悩み、日々戦った。



その努力が少し伝わってくれたのか、その生徒は徐々に、心を開いていってくれた。



少しホッとした俺が、冷静に戻った頃…気づいたんだ。



奈々の、冷たくなり始めた心に。。



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