◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆
「昨日の先生、何かすっきりした顔してたよ。」
「そうか?」
ふいにそう言った沖田を見た。
目を細めて笑った沖田・・・
あ………
分かった。
「良かったね、先生。これで新しい恋できるんじゃない?」
「うるさいよ。」
いじわるく笑った沖田・・・
ほらな。やっぱり。
俺は気づいた。
何であんなに沖田に惹かれていたか。
石川や山口達は、俺と沖田の笑った顔が似てるって言ってたけど…
沖田が笑うと、
どこか…奈々に似てる。
笑っただけで、周りの空気を柔らかくするような雰囲気。
もしかしたら、気のせいかもしれないけどな。
ただ、心のどこかで奈々への想いを捨てきれずにいた俺は、そんな沖田に…奈々を重ねていたのかもしれないし…。。
今思うと、そんな気もする。
「なぁ、聞いていいか?」
「何ですか?」
俺は、ずっと気になっていた…
あの日見た、沖田の涙の理由を
聞いてみることにした。
「いつだったか、沖田・・・放課後、教室で泣いてただろ?…あれは、塚本が関係してるのか?」
俺がそう聞くと、沖田は少し俯いてから…窓の外に視線をやり、話し始めた。
俺の知らない沖田の…せつない恋を。