◆紫色の恋空**先生の切ない恋**◆
俺は、ちょっと考えてファーストキスを思い出した。
「ファーストキスなんか忘れたな…というか、キスに味なんてないだろ。」
記憶が曖昧ではっきりとはわからないけど、俺のファーストキスは無味だった気がする。
それと同時に、そんな事を聞いてきた沖田はどうだったか…気になった。
そもそも…沖田、ファーストキス終わってる?…よな。。
「お前は?」
聞きたくないけど、聞きたい。
流れでつい、聞いてしまった。
俺がそう聞き返すと、沖田はちょっと眉を下げて…小さく笑った。
「私のファーストキスは…」
そこまで言って、沖田は下を向いてしまった。
俺は、確信した。
きっと沖田が寂しそうな顔をするのは、誰か…好きなヤツがいるんだ。。
「…涙で、しょっぱかった。。」
ふと見ると、さっきとは違う…いつもの笑顔でそう言った沖田がいた。
その瞬間、どうしようもなく…沖田を抱きしめてやりたくなった。
だけど、その衝動をぐっとこらえて…俺はただ、沖田のその笑顔に、笑い返しただけだった。