初彼は先生。



「あーあ。中原先生行っちゃった」

残念そうに手を振る利奈子。


中原先生が言っていた通り、レーンは一番端っこで、姿を見ることも声を聞くこともできなかった。


私はと言うと、佐野先生と仲良く話している高校生の女の子が気になって仕方なかった。



「あたし、さのっちとペアだよね!
ボーリング超苦手なんだけど、教えてね」


「あぁ、いいよ」



佐野先生はみんなに優しい。
あたしだけじゃないのか…

ちょっとがっかりしながら、取ってきたボールをおく。


すると、置いたばかりのボールが宙に浮いた。



「軽くね?女の子ってこんなもんなの?」



先生だった。



「あたしにとってはちょうどいいのー」



そういう私に先生は、



「持ってみ?」



といって、先生が選んだボールを渡してきた。



「!!」



突然のことだったのと、重かったのとで私はボールを落としかけた。



「おっと」



先生はそんな私の落としたボールをサッと受け止めてくれた。



「ごめんごめん。大丈夫だった?」



「うん、大丈夫。ありがとう」



そういって顔をあげるとすぐ近くに先生の顔があってびっくりしたと同時にドキッとした。



「!」



「ははっ。びっくりしすぎだよ」



「だってー」



「真理ちゃん、おもしれー」



そういっていたずらっ子みたいに笑ってどこかに行った。







私は顔が火照っていた。
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