初彼は先生。
新恋
夏休みも終わり、学校も始まった。
塾も通常授業に戻り、なんら変化のない日々を送っていた。
ある日。
いつものように塾に行くと、いつも担当してくれていた先生が休みで、変わりに佐野先生が臨時で私の担当になっていた。
夏期講習以来、あまり話したことがなかった佐野先生。
陽菜が以前、
「あの人イケメンだよ」
なんて言っていたが、
本当にそうらしく、生徒から結構人気があるみたいだった。
私が席に行くと既にそこにいた先生の周りには、何人かの生徒がいた。
「こんにちはー」
とだけ挨拶をし、席に着く。
すると、周りにいた生徒達にそろそろ席つけよーと声をかけて、私のところにきた。
「長岡さんだよなー。
英語得意ってきいたけど?」
いきなりそんなことを言われ、戸惑いつつも、
「あぁ、まあね」
なんて言いながら持ってきたミネラルウォーターを飲んだ。
「水好きだったりすんの?」
私がうなずくと、先生は妙に食いついてきて、
「奇遇だなぁ。俺も水好きなんだーっ
特にボルビック最高」
「あ、わかる。あれ美味しいよねぇ」
「長岡さん、わかってるねぇ」
「でしょ」
あははっと笑いつつ、先生が生徒に人気があるのはこの親しみやすい性格のせいもあるんだろうな、なんて考えていた。