お兄ちゃんは悪魔サマ
*・。・気持ち・。・*
 


「お兄ちゃん、唯です」



その日の夜、私はお兄ちゃんの部屋のドアをノックした。

ちゃんと話してみようと決心したから。尚哉くんからの言葉がとても心に沁みて来たから……




一度は兄と妹に戻ろうと決めた。
ずっとそう思って気持ちを押し殺して来た。


でも、結局溢れる想いを消す事は出来なかった……







扉が開いて、お兄ちゃんが顔を出す。




「どうした?」

「ちょっとお兄ちゃんに話したい事があって。部屋に入ってもいい?」

「ああ」



お兄ちゃんの後を追って部屋に入る。生きてた頃と何も変わらない部屋……




「急にどうしたんだ?」

「お兄ちゃんはさ、もし私がまた先輩と付き合うって言ったら嫌……?」

「……付き合うのか?」



お兄ちゃんは私に背中を向けたままで、その表情を伺い知る事は出来なかった。




「もしも……の話しだとして」

「そーだな……。唯が本気でアイツを好きなら反対はしない」

「本気じゃなかったら?」

「好きでもないのに付き合ったって、幸せにはなれない。だから本気じゃないなら反対する」

「お兄ちゃんは、本気の人とだけ付き合ってるの……?」



私の突然の問いかけに、お兄ちゃんは戸惑ってるみたいだった。







今のお兄ちゃんの本心が知りたかった。

嘘偽りのない、正直な気持ち……



 
< 100 / 288 >

この作品をシェア

pagetop