お兄ちゃんは悪魔サマ
*・。・気持ち・。・*
「お兄ちゃん、唯です」
その日の夜、私はお兄ちゃんの部屋のドアをノックした。
ちゃんと話してみようと決心したから。尚哉くんからの言葉がとても心に沁みて来たから……
一度は兄と妹に戻ろうと決めた。
ずっとそう思って気持ちを押し殺して来た。
でも、結局溢れる想いを消す事は出来なかった……
扉が開いて、お兄ちゃんが顔を出す。
「どうした?」
「ちょっとお兄ちゃんに話したい事があって。部屋に入ってもいい?」
「ああ」
お兄ちゃんの後を追って部屋に入る。生きてた頃と何も変わらない部屋……
「急にどうしたんだ?」
「お兄ちゃんはさ、もし私がまた先輩と付き合うって言ったら嫌……?」
「……付き合うのか?」
お兄ちゃんは私に背中を向けたままで、その表情を伺い知る事は出来なかった。
「もしも……の話しだとして」
「そーだな……。唯が本気でアイツを好きなら反対はしない」
「本気じゃなかったら?」
「好きでもないのに付き合ったって、幸せにはなれない。だから本気じゃないなら反対する」
「お兄ちゃんは、本気の人とだけ付き合ってるの……?」
私の突然の問いかけに、お兄ちゃんは戸惑ってるみたいだった。
今のお兄ちゃんの本心が知りたかった。
嘘偽りのない、正直な気持ち……