お兄ちゃんは悪魔サマ
「ただいま」
「お邪魔します」
程なくして先輩の家に着いた私達は、真っ直ぐ二階の尚哉くんの部屋へと向かった。
「尚哉、入るぞ?」
そう言ってドアを開ける先輩。でもそこに尚哉くんは居なかった。
「まだ学校か?確か今日は早く帰れるって言ってたんだが……」
「とりあえず少し待たせて貰っていいですか?」
「もちろん。じゃあ下のリビングで待とう」
先輩に同意して、のぼったばかりの階段を下りる。
リビングにあるソファーに腰をおろすと、先輩がコップに注いだアイスティーを出してくれた。
「唯はストレートでいいよな?」
「あ、はい」
冷たいアイスティーで喉を潤しながら、チラッと先輩を見る。
ガムシロップとミルクたっぷりの先輩のアイスティー……いやミルクティー。
尚哉くんも甘い缶コーヒー飲んでだっけ……
やっぱり兄弟だなぁ。
「唯、今日の尚哉の話しって何だか知ってる?」
「いえ……。先輩も知らないんですか?」
「ああ。明日話すって言って、俺にも教えないんだ……」
先輩も知らない事……
尚哉くんは何を話そうとしてるんだろう?
ガタンッ
その時、玄関から何か音が聞こえた。
「尚哉かな?」
そう言って玄関に向かう先輩の後を、私も追う。
「……っ!?尚哉っ!!」
「尚哉くんっ!?」
玄関には、傷ついて倒れている尚哉くんが居た……