お兄ちゃんは悪魔サマ




「尚哉、何があった!?大丈夫か?」



先輩は、尚哉くんを抱きかかえながらリビングに戻る。
ソファーに尚哉くんを寝かせると、リビングにある棚を開けて何かを探している。

私は尚哉くんに近寄り怪我の程度をみる。


体の表面には、小さな切り傷が至る所についていた。所々には殴られたような痣もある……

一体誰に……?




「んん……」

「尚哉くん!?」

「あ、唯か……」

「うん、大丈夫なの?何があったの?」

「尚哉、気がついたか」



その声に振り向くと、先輩は片手に救急箱を持っていた。

その中から消毒液とガーゼを取り出し、尚哉くんの手当を始めた。




「ってぇ……」

「少し我慢しろ。それにしても何があったんだ?」



手当を続けながら、先輩が一番気になっていることを尚哉くんにぶつける。




「新しい悪魔が居る」

「「えっ!?」」



先輩ときれいに声が重なる。
先輩と顔を見合せて、尚哉くんの方を向き直す。




「この怪我はその悪魔にやられたのか?」

「うん、まぁな」

「もしかして今日話したかったのって、その悪魔の事……?」

「あったり~唯って意外と鋭いな。って、痛いって!兄貴、もうちょっと手加減してくれよ」

「男のくせに情けないことを言うな」



先輩の手付きはかなり大雑把で、見るからに痛そうだった……




「あー……先輩、手当変わりましょうか?」

「いや、もう終わるから」



尚哉くんは縋るような目で私を見ていたけど、どうする事も出来ない私……

少ししてバンドエイドだらけになった尚哉くん。




「俺、かっちょ悪ぃ……」



自分の体を眺めながら、ため息をつく尚哉くん。

でも、新しい悪魔の事が気になって仕方なかった私は、そんな彼を気遣う余裕もなく話しを切り出した。




「あの、悪魔が居るって……」




すると、一瞬で尚哉くんの顔つきが変わった。




 
< 114 / 288 >

この作品をシェア

pagetop