お兄ちゃんは悪魔サマ
 


「……うん、確かに居た。今までにない気配を感じて、今日ちょっとだけ様子見に行ったらこのざま」

「強かったの……?」

「まぁね。あれは悪魔になったばかりのヤツじゃなくて、どっかから流れて来た悪魔だな!じゃなきゃあんな強ぇわけねーもん」



尚哉くんはその悪魔に負けた事がよほど悔しかったのか、頬をぷくーっと膨らませている。




「流れて来た……?」

「あ、悪魔ってさそんなしょっちゅうその地域から動かないんだよね〜。理由はよく解んないんだけど。でもたま〜に移動するヤツがいるんだ」

「ふ〜ん……。やっぱり悪魔になりたてって弱い?」

「弱い。よっぽど天性の素質みたいなもんがない限りは俺ならすぐ倒せる」

「……お兄ちゃんも弱い?」

「……まぁ、強くはない……な」



やっぱり言いにくい事なのか、尚哉くんは少し歯切れが悪い。




「あ!そう言えば陵は?」

「それが、今日はイグ……」



イグルスさんと言いかけて思わず止めた。

いや、尚哉くんならきっとイグルスさんの事も知ってるんだろうけど……




「ああ、イグルス?」

「あ、やっぱ知ってるんだ……」

「イグルスはこの辺りじゃ有名だからな」






尚哉くんによると、イグルスさんはもう数百年近くもこの辺りにいるんだって!


お兄ちゃんも、頑張れば数百年とか居られるって事なのかな?

そうだといいな……



  
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