お兄ちゃんは悪魔サマ
「えっと……唯?」
先輩がおそるおそる聞いてくる。
お兄ちゃんは動か(け)ない。
ど、どうしよ……
「…………」
私は何も答えられずに沈黙を保っていた。
すると、突然開かれたドア。
その人物は入ってすぐに床で伸びてる猫型のお兄ちゃんを見つけると、そのまま首根っこを掴んで持ち上げた。
「あ"、なんだコレ?」
「あ、生徒会長。それは、えっと……」
「今朝から入り込んでる猫だよ」
「ふ~ん。猫、ね……」
生徒会長は意味ありげに言葉を発して、私に近づいて来た。
そしてお兄ちゃんを私に渡した瞬間だった……
「はい、お兄ちゃん」
そう、私にしか聞こえないように囁いた。
私は背筋が凍りついたかのように固まった。
この猫がお兄ちゃんってバレてる……?
「先輩、ごめんなさい!今日は帰りますね」
「え?唯?ちょっと……!」
私は先輩の言葉も聞かずに、お兄ちゃんを抱えたまま生徒会室を飛び出した。