お兄ちゃんは悪魔サマ



その後どうやって家に帰ったのかは覚えていない。
でも、泣かないように必死だったと思う……

気がついたら、自分の部屋のベッドに寝ていた。




「……ぃ、……い、唯!」



体を揺さぶられてそっと目を開ける。




「ん……。お兄……ちゃん?」

「どうした?疲れたのか?」



八城先生からの話を聞いてからずっと押さえていたものが、お兄ちゃんを見て溢れ出した。




「お兄ちゃんっ」

「唯……!?」



突然抱きついて泣き始めた私に、お兄ちゃんは少し戸惑っている様子だった。




「どうした?イグルスに何か言われたのか?」

「違うっ、違うの……」



どうしたのかと聞いてくるお兄ちゃんに、私は何も答える事が出来なかった。

お兄ちゃんに抱きついたまま、ただ泣いていた。
お兄ちゃんも、ただ抱き締めてくれていた……





「唯……泣いてる唯を見てたら可愛くってしたくなった。いい?」



あまりに唐突で驚いたけど、少し間を置いて私は頷いた。
こんな時だからこそ、お互いをちゃんと確認したかったのかもしれない……


もしかしたら、お兄ちゃんも同じ気持ちだったのかな……?
 


 
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