お兄ちゃんは悪魔サマ
「尚哉も……?」
「はい」
先輩は少し考え込むと、生徒会長に何かを言っていた。
すると、会長は私にまたねと言って出て行ってしまった。
「俺と尚哉に話したいってことは、たぶん陵さんの事なんだろ?」
「お兄ちゃんの事と言うか、私の事と言うか……」
「……陵さんとうまくいってない……とか?」
「えっ?ち、違います。そんな悩みだったらどんなにいいか……」
先輩は私の様子が少しおかしいとすぐに解ったらしい。
けれどこの場ではそれ以上、深く追及してくる事はなかった。
「あ!それより、さっきドア越しに少し聞こえてしまったんですけど、八城先生がどうかしたんですか?」
「あぁ、その話か……唯は聞いた事ない?八城先生がいろんな女子生徒と遊んでるって」
「そんな噂が……」
先生はその為にわざわざ学校に来たって言ってたから、私にしてみれば驚く事ではなかったんだけど……
そういえば、先輩は先生が悪魔って知らないんじゃ?
「生徒の間じゃその噂が広がって、自分から先生のとこに行く子が増えてるらしい。なのに、学校側は何も知らないみたいなんだ。おかしいだろ?」
先輩に八城先生の事、言った方がいいのかな……?
尚哉くんはまた狩ろうとするのかな……?
私はやっぱり先生が何か知ってる気がして仕方なかった。