お兄ちゃんは悪魔サマ
 


結局、八城先生の事を伝えないまま放課後になった。
尚哉くんには先輩から連絡してくれたみたい。




「唯、行こう」



私は友達に別れを告げ、教室まで迎えに来てくれた先輩とともに帰ろうとしていた。

下駄箱で靴を履き替え、校門に向かっていると見覚えのある後ろ姿が……




「先輩……あれ……」

「尚哉?」



私と先輩は少し小走りで尚哉くんに近づいた。




「尚哉っどうしたんだ?」

「まだあの悪魔の事が気になっててさ、ついでだから来てみた」

「来てみたって……来てどうするつもりだったんだ?」

「そこまで考えてなかった。とりあえず探検?」



そう言って尚哉くんはさっさと校舎に向かってしまった。




「おいっ尚哉!」



私と先輩も慌てて後を追う。

ってゆーか、これで八城先生と鉢合わせなんかしちゃたたらどうなるんだろ……


校舎に入ったところで、尚哉くんはキョロキョロ周りを見回していた。




「尚哉くん、どうしたの?」

「微かだけど悪魔の気を感じる。でもアイツ……自分の気を操れるのか」




尚哉くんは、何かをブツブツ言いながら歩き出した。


そして、それは保健室のある方向だった……



 
< 145 / 288 >

この作品をシェア

pagetop