お兄ちゃんは悪魔サマ
尚哉くんは何かを確かめるようにしながら、どんどん進んでいく。
「ここだ!」
そう言って指差したのは、保健室だった……
「兄貴、唯、ドア開けるからな。気をつけろよ」
「保健室……。八城先生……?まさかあの噂は……」
今にもドアを開けそうな尚哉くんの後ろで、何かを考えてる先輩。
私は2人とは違う意味で緊張しながら、尚哉くんの動きを見守っていた……
「行くぞ」
ガラッ
「あれ……?」
開いたドアの向こうには誰もいなかったのだ。
ベッドのカーテンも全て開かれたままで、誰かが居る気配はない。
尚哉くんは一歩足を踏み入れ、何かを探るように集中しだした。
「やっぱりここから悪魔の気が感じ取れる……。兄貴、保健室の先生って男?」
「男だ」
「兄貴的には、その先生はどう思う?悪魔の気配は?」
「俺には気配は解らない……。が、妙な噂がある。先生が悪魔なら納得できるな」
「どういう事だ?」
その時だった。
タイミング良くと言うか悪くと言うか、はたまたお約束とでも言うかのように、先生が現れた……
「病人、怪我人でもねぇのに勝手に保健室に入ってんじゃねーぞ」
「「先生!」」
「お前っ!!」
3人の声が同時に発せられた。
先生は別に驚いた様子も警戒する素振りもなく、スタスタと私達に近づいてきた。