お兄ちゃんは悪魔サマ
尚哉くんに続いて先輩も出て行き、私も後を追って出ようとした。
すると突如先生に腕を掴まれ、一言だけ耳打ちされた。
「近いうちにまた来い」
その後すぐに先輩の私を呼ぶ声が聞こえて慌てて後を追う。
八城先生はどういうつもりであんな事を……?
自分で何とかしなって言った癖に……
でも、私は決意した事を変えるつもりはない。
その為に尚哉くんと先輩に話すんだもん。
話が話なだけあって外でという訳にもいかず、結局また先輩の家にお邪魔する。
帰りもずっと不機嫌だった尚哉くん。
先輩は考え込んでいる時間が多かったように思う。
そんな2人も私が話し出すと、表情を一変させた。
まぁ当たり前だろうけど……
いきなり私死ぬんですって言ったら、誰だってびっくりするよね。
「どういう事なんだよ!?唯が死ぬって訳わかんねーし」
「俺もだ……。順を追ってちゃんと話を聞かせてくれ」
そして、私はお兄ちゃんが悪魔になった理由が私にある事、私のその時がもうそこまで迫っている事などを話した。
「それで……?唯は俺たちに何をして欲しいんだ?」
「それは……」
私が先輩と尚哉くんに頼もうとしている事は、きっと2人にとっては残酷な事かもしれない……
それでも――
「お兄ちゃんを止めて欲しいの」
「……陵さんを止める?」
「そう。お兄ちゃんは必ず私を助けようとする。それを阻止して欲しいの」
「ちょっと待て。それって唯は……」
先輩はすぐにその意味する事を察した様子。
私は静かに頷いた。