お兄ちゃんは悪魔サマ
「ん?ってゆーかそれだけ?」
「それだけって……お兄ちゃんが居なくなっちゃうんだぞ!!」
「そうなんだけど、普通はそうなんじゃないの?死んだ時点で居なくなっちゃうんだから」
「いや、まぁそうなんだけど……」
お兄ちゃんは少し視線を泳がせた後、ふぅっと一呼吸した。
そして真剣な顔つきで次の言葉を発した。
「……悪魔をクビになると、転生が出来なくなる」
その顔はおちゃらけたお兄ちゃんじゃなかった。
いや猫の姿なんだけど、その声の感じや、雰囲気が真面目というか……
「転生……。生まれ変われないって事?」
「そうだ」
「そこまでして悪魔になったのは何で……?」
「大切なものを守る為」
お兄ちゃんは真っ直ぐに私を見ていた。
不覚にも、ちょっとドキドキしでしまった。
猫の姿なのに……
「そうだ!生徒会長、どうしよう……」
「とりあえず確かめてみるしかないな……唯、兄ちゃんに任せろ!!」
ドンッと胸を叩くお兄ちゃん。ちょっとだけ凛々しく見えたのも束の間。
「ゴホゴホッ」
咳き込むお兄ちゃんに一抹の不安を覚えた。
大丈夫かな……