お兄ちゃんは悪魔サマ
「唯の気持ちは解った。でも、やっぱり俺は協力出来ない……」
最初にそう言ったのは先輩。
そして尚哉くんも……
「俺もだ。……なぁ、何か方法はないのか?唯は助かって、陵が消滅しなくて済むような……」
「イグルスさんと八城先生には聞いてみた。でも2人とも解らないって……。ただ……」
さっき八城先生に言われた、『また来い』って言葉が何を意味するのか……
それが気になって仕方なかった。
でも、一度は解らないから自分で何とかしろと言った先生。
今更何か期待しても、仕方がないと思う自分……
もしかしたら、と思ってしまう自分……
「唯、何か心当たりがあるのか?」
「あ、いえ……」
さっきの先生と尚哉くんのやり取りを見ている限り、この2人はもう会わせない方がいい気がする。
私は、先生には1人で会いに行く事を決めた。
「それより、自分に残された正確な時間が知りたい……」
「知ってどうするんだ?もし……もし唯が死ぬ気でいるなら、はっきり解れば解るほど怖くなるだけじゃないのか?」
先輩の言う事は最もだ。
それでもその時を知らなければ、お兄ちゃんを助ける行動にさえ移せない。
「怖いです……凄く。逃げ出したいくらい……。でも怖いなんて言ってられない」