お兄ちゃんは悪魔サマ
*君にしてあげられる事*
*悠哉side*
バタンと閉じられた扉を、ただ見つめる。
思ってもみなかった唯の告白。
そして……
「尚哉、お前さっきの本気か……?」
「……ああ」
「本当に解って手伝うなんて言ったのか!?お前は唯を見殺しにするのか……!?」
尚哉は無言のまま何も答えなかった。
事が事だけに冷静でいられるはずもなく、尚哉に掴みかかる。
身体能力的にこいつに敵う訳がない事は解っている。
それでも、行き場のない気持ちをどこかにぶつけたかった…
「ぐっ……」
「なんで抵抗しないんだよ……!」
「兄貴の気持ちも解るから。言っとくけど、俺だって……」
「俺だって?」
尚哉はハッとした様に視線を逸らし、力の緩んだ俺の手をゆっくりと退かした。
尚哉もまた、苦しそうな顔をしていた。
当たり前だよな……
平気な訳がない。
俺はそんな事さえ考えられない程、動揺していた。
そのまま立ち去る尚哉に、俺は声をかける事も出来ずにそこに佇んでいた……