お兄ちゃんは悪魔サマ
「唯の死ぬ予定日は11日後。残り2週間をきっている」
「11日後……か。時間も解るんですか?」
「解る。夕方の5時47分だ。でもそれしか解らない。どんな状況でどんな状態になるのかはその時になってみたいと……」
状況……状態……?
確かに死ぬと言う事実だけでは、あまりに漠然としすぎている。
「陵さんはどうするつもりだったんですか……?」
「……1日、唯と一緒に部屋で過ごすつもりだった」
確かに。何があるか解らないのなら、それが一番いい気がする。
「でも、だったって……そうするんじゃないんですか?」
陵さんは力なく首を振った。
「本来、俺は唯と接触を取ってはいけない。ずっとイグルスが目を瞑ってくれてたけど、その日はそうはいかないんだ」
「……何故ですか?」
「監視がつく。俺みたいな考えの悪魔がたくさん居たんだろ」
……俺の中にある疑問が生まれた。
そもそも何故そんな周りくどい事をするんだ…?
もし陵さんの魂が目当てなのなら、唯が助かった方が都合がいいはず。
それをわざわざ監視つけてまで助けにくい状況を作る意味は……?