お兄ちゃんは悪魔サマ



「唯の死ぬ予定日は11日後。残り2週間をきっている」

「11日後……か。時間も解るんですか?」

「解る。夕方の5時47分だ。でもそれしか解らない。どんな状況でどんな状態になるのかはその時になってみたいと……」



状況……状態……?

確かに死ぬと言う事実だけでは、あまりに漠然としすぎている。




「陵さんはどうするつもりだったんですか……?」

「……1日、唯と一緒に部屋で過ごすつもりだった」



確かに。何があるか解らないのなら、それが一番いい気がする。




「でも、だったって……そうするんじゃないんですか?」



陵さんは力なく首を振った。




「本来、俺は唯と接触を取ってはいけない。ずっとイグルスが目を瞑ってくれてたけど、その日はそうはいかないんだ」

「……何故ですか?」

「監視がつく。俺みたいな考えの悪魔がたくさん居たんだろ」





……俺の中にある疑問が生まれた。


そもそも何故そんな周りくどい事をするんだ…?
もし陵さんの魂が目当てなのなら、唯が助かった方が都合がいいはず。


それをわざわざ監視つけてまで助けにくい状況を作る意味は……?



 
< 158 / 288 >

この作品をシェア

pagetop