お兄ちゃんは悪魔サマ
屋上に降り立った俺たちは、直ぐさま保健室へと直行した。
「……陵さん。俺は八城先生が悪魔だという事に気づけなかったんです。ハンターとしての素質の問題もあるとは思うんですが……。ただ、今もこの建物内に陵さん以外の悪魔の気配は微塵も感じない……」
「……俺もだ」
「え!?」
「でも間違いなくここに2人は居る……気がする」
まだ授業中だった為、会話はそれだけでそれ以降は口を開く事なく歩いた。
保健室の目の前に来ても、まだ何も感じない。
本当に2人は居るのか……?
「行くぞ」
躊躇う事なく陵さんによって開かれたドアの向こうには……誰もいなかった。
「いないですね」
「……ああ」
一応中に入ってはみるものの、特に変わった様子も……
あれ……?
机の上に置かれているメモに目が止まり、近づいてそれを手にする。
「陵さん、これ……」
そこには汚い走り書きで、こう書いてあった。
【陵、1週間ほど留守にします。こんな時にすみません】
「どういう事だ?こんな時に留守?タイミング悪すぎだろ……」
「これは本当にイグルスさんが書いたものですか?」
「……メモから微かにイグルスの気を感じる。間違いない」
もしこれが本当なら、イグルスさんは1週間近くは帰って来ない。
ここにメモがあると言うことは、恐らく八城先生も……
それはつまり、話しを聞く事が出来ない……