お兄ちゃんは悪魔サマ
「あーっと……名前は?」
「……紗香(サヤカ)」
「紗香ね。お前空飛べる?」
「空?私が飛べるんですか?」
………駄目だ。もし飛べたとしても危険すぎる。
ってかコイツを悪魔にスカウトしたヤツはいねぇのか……?
「いや、気にすんな。とりあえず駅がどっちか解る?」
「あ、はい。案内しますね。ついてきて下さい」
そして公園を後にして30分。
未だに駅に着く気配がなく、俺は少しイライラし始めた。
「あのさ、まだ着かないの?」
「すみませんっ、確かこっちだったはずなんですけど……。んー……あっちだったかなぁ」
や、役にたたねぇ……
これ以上任せておいてもきっと駅には辿り着けないと判断した俺は、素直に人に道を尋ねながら駅に向かった。
最初からこうしとけば良かった。
切符を買って改札に向かう途中で、服の裾を掴まれた。
振り返ると紗香だった。
「あの、私お金持ってません」
「あのさ、悪魔なら周りから姿を見えないようにすればいいだろ?」
「ああ、そうですね!」
そしてこの人がたくさん行き交う駅のど真ん中で、いきなり姿を消そうとする紗香。
「バッ……、こんな所で消えたら騒ぎになんだろ!」
マジで疲れる……。さっきから振り回されっぱなしだ。
何でこんなヤツが悪魔になれたんだ!?