お兄ちゃんは悪魔サマ
紗香を捕まえた場所近くの駅から俺ん家の近くの駅までは、2時間半かかった。
すっかり日は落ち、携帯に母さんから早く帰れと催促のメール……
いろいろ聞きたい事もあったが、さすがに電車の中では紗香と話す事もできなかった。
途中、逃げ出すかなとも思ったけど黙ってついて来ている。
「ここが俺ん家。とりあえず……直接俺の部屋に行くか。紗香さ、何か動物になって」
「動物?」
「そ、なるべく小さめの。普通の人からは姿が見えなくても、俺の家族には見えちまう可能性大だからな」
「小さな動物……。なんでもいいんですか?」
「ああ。但し抱えやすいのにしてくれ」
紗香は暫く考えた後、小さな掌サイズの熊になった……
こいつの頭ん中が解んね……
まぁ小さいから問題ないけど。
俺は紗香扮する熊を掴んで、直接2階の俺の部屋の窓に近づくと、ポイッとその熊を投げ入れた。
「きゃっ……!」
「悪ぃな。俺は普通に玄関から入ってくるからちょっと待ってろ」
家に入ると母さんからの小言がまっていたが、半分無視して部屋に向かう。
ドアを開けて中に入ると……
紗香がいねぇ……!?
って焦ったのも束の間、何故か熊の姿のままベッドで寝てる紗香。
あまりに予測不能な行動に思わず笑っちまう。
ホントに変なヤツ……