お兄ちゃんは悪魔サマ
翌日の放課後、6限目の終わりを告げるチャイムが響き始めるのと同時に、教室を飛び出した。
あくまでも、普通の人間が全力疾走する位の速度で走る。
それでも俺には最高時の半分以下の力で、変に疲れる……
兄貴と唯の高校についた時、ようやく鞄の中にいるであろう紗香の存在を思い出した。
「やべっ。思いっきり鞄振りながら走っちまった……」
鞄を開けて中を確認するが、紗香は動く気配がない。
そっと熊型の紗香を取り出すと目が回っているらしく、何かを俺に向かって喋っている。
が、さっぱり解んね。
「悪い、大丈夫か?」
「らいろぉぉっ……れすぅ〜」
「……とりあえず行く」
一応門の所で待ち合わせなんだけど、待たされるの嫌いだし。
「あのぉ、尚哉ひゃん」
「……何だよ」
「ここに仲間がいゆんですか?」
まだ所々呂律が回らない紗香の言葉を聞いて、驚いた。
ここに仲間って、兄貴と唯の事か?それとも悪魔……?
「何かあっちから感じまふよ」
紗香の指示した方向は、確か保健室……。八城か?
でも俺には感じられない。
とりあえず行ってみるか。こっちが手を出さなきゃあっちも学校で暴れたりはしないだろ。
そうして、俺は紗香を連れて保健室へ向かった。