お兄ちゃんは悪魔サマ
「あ、あなたは、もしかして……悪魔なの?」
「そうなんです。尚哉さんに捕まえられたんですよ」
「尚哉くんに……?」
「まぁな。いろいろ役にたつかと思ってさ」
唯は何かを考えているのか、紗香をジーッと見つめている。
何だか悲しそうな唯に、俺も兄貴も何も言えずにいた。
「紗香ちゃんだっけ……何歳?」
「あ、一応15歳です」
「そっか……15歳……。死ぬのって怖かった?」
「……覚悟してましたから」
「覚悟……?」
「私、病気だったんです。自分が永くない事は知っていました」
唯も紗香もそれきり俯いてしまって、何とも重い空気が場を支配した。
そんな空気を断ち切るかのように、兄貴から紗香に質問がぶつけられる。
「紗香ちゃん、ここで何かを感じたんだよね?それは何だった?」
「あ、ここから誰かが魔界に行ったみたいで」
「っ!?何故そこまで解るんだ?」
「え……?だって紗香、魔界に行けますから」
「「……はぁ!?」」
今、何つった……?
魔界に行ける?
俺の知る限りじゃ魔界に行けるのなんて、上級悪魔の一握りだったはず……
「本当に悪魔かどうかも解らない位に弱いのに、魔界に行ける?冗談だろ!?」
「なっ、冗談じゃありません!」
それが本当だとしたら、コイツも何者だ……?