お兄ちゃんは悪魔サマ
その日はそのまま家に帰った。そして自分の引き出しにある通帳を確認する。
「残り4万ちょっとか。少し足りないかも……」
お母さんにお願いして、お小遣い前借しなきゃ。
それより、お兄ちゃんは帰ってないのかな……?
そう思ってお兄ちゃんの部屋を覗き込んでみても、蛻(モヌケ)の空だった。
私は制服から着替えるとスケジュール帳と睨めっこしながら、最期の時までの予定を考える。
今日は木曜日……
10日後だと日曜日の夕方……
私はあの時、屋上で紗香ちゃんに残りの時間を聞いていた。
そしてそれは尚哉くんや先輩、誰にも言わないで欲しいとお願いしたのだ。
たった10日じゃ出来ることなんて限られてる。それでも、やれる事はやっておきたい。
死ぬ覚悟なんて全然出来てないし、怖い事に違いはない。
だけど何て言うのかな、肝が据わったって感じ?
やるだけやるしかないって開き直りかも。
私はとりあえず、思いつくままにやりたい事を手帳に書いていく。
お父さんには会っておくべき?
でも、お母さんと私を捨てたんだもんね……