お兄ちゃんは悪魔サマ
散々迷ったけれど、出てくる気持ちは会いたいけど会いたくない。
私はその日が来る直前まで、結論を先延ばしにする事にした。
残りの時間がはっきりした以上、学校で授業を受ける時間がもったいない気もした。
でも、二度とは戻って来ないであろう日常。
それに紗香ちゃんみたいに、学校に行きたくても行けなかった子だっている……
お父さんが居て、お母さんが居て、お兄ちゃんが居て、何気なく過ぎてたあの頃が懐かしいな……
幸せはいつだって、すぐ側にあったのに。
そんな風に物思いに耽っていると、お兄ちゃんの部屋から物音が聞こえた。
何となく、お兄ちゃんの部屋に行くのを躊躇った……
その日、私からお兄ちゃんの部屋に行く事はなく、お兄ちゃんが私の部屋に来る事もなかった。
次の日、学校の授業を受けた私は一度家に戻り、昨日支度しておいた旅行鞄を手にした。
そしてそのまま母方のおじいちゃんとおばあちゃんに会いに行くため、駅に向かった。
新幹線で2時間かかる距離。会えるのはいつも年に2回だけ。
孫である私とお兄ちゃんをとても可愛がってくれた。
お兄ちゃんが死んじゃった時も凄く悲しんでいた……
まだそんなに月日は過ぎてないのに、また悲しませる事になっちゃうな……