お兄ちゃんは悪魔サマ
お母さんは不思議がっていたけど、何とか丸め込んで了承は得た。
お兄ちゃんには簡単に部屋に書き置きだけしてきた。
シンプルに、ちょっとおじいちゃんおばあちゃんに会ってきますとだけ。
お兄ちゃんのお葬式から会ってなかったけど、2人はとても元気そうで、突然の訪問にも関わらず歓迎してくれた。
2人の温かいもてなしを受けながら、のんびりと時が流れるのを感じた。
「ちょっと夜空を眺めてくる!」
「あまり遠くに行かんのよ」
「解ってる!すぐ戻るから」
外に出て空を見上げると、吸い込まれそうな程の満天の星空……
昔からここに来た時は、必ずこうして夜空を眺める。
それが大好きだった。
雄大な景色は今の私の悩みを全て包み込んでくれる気がして、この時だけは何もかも忘れて星空を見つめ続けた……
「あっ、あんまり長居しちゃうと心配かけちゃう!」
私が踵を返した時、空に1つの影が見えた。
それは間違いなく私に向かって飛んで来る。
「お兄ちゃん……?」
姿は見えなくても、私には自然と解った。
あれは間違いなくお兄ちゃんだって……