お兄ちゃんは悪魔サマ
 


「お兄ちゃん……私、自殺だけはしないよ」

「唯……」

「お兄ちゃんを助けたい気持ちに変わりはない。そして、運命に逆らうつもりもない。だから自ら命を絶つ事もしないよ」



お兄ちゃんは少し私を離すと、真正面から私を見つめた。

お兄ちゃんは、とても真剣な瞳をしていた……




「唯……俺、ちょっと魔界に行ってくる」

「魔界……?」

「ああ。もしかしたら何か方法があるかもしれない」

「本当に!?」

「まぁ何もないかもしれないけどな。最初は唯を助けられればそれでいいと思ってたけど、最後まで足掻いてみる」




そう言ったお兄ちゃんの顔は凄く男らしくて、ちょっとドキッとした……




「いつ行くの?」

「明日には。だから今夜は……」

「……うん」



それ以上は聞かなくても解ってた。だって、私も同じ気持ちだったから……




「でもとりあえず帰らなきゃ!おじいちゃんとおばあちゃんが心配しちゃう」

「そうだな。じゃあ俺も行くか」




そう言ってお兄ちゃんは猫になった。私は猫になったお兄ちゃんを抱き抱え、小走りで家へと向かう。




「ちょっ、下ろせって!」

「猫は喋らないの!」




だって猫のお兄ちゃん、ふかふかで気持ちいいんだもん。

それに、お兄ちゃんがここに居るって実感出来るから……



 
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