お兄ちゃんは悪魔サマ
「唯ちゃん、その猫どしたんね」
「あ、野良……かな。何かやけになついちゃって離れないから、連れてきちゃった」
おばあちゃんは無言のまま猫を見つめている。
まさか、バレ……る訳はないか。
それにしてもどうしたんだろ……
「陵……」
「えっ……!?」
「いや、何となく陵に似とる気がしたけぇね」
おばあちゃんはお兄ちゃんを2、3回撫でた。
私とお兄ちゃんは内心、かなりヒヤヒヤだった。
「じゃあお布団用意するけぇ、お風呂にでも入っといで」
「あっ、おばあちゃん。猫……」
「連れて入ってもええよ。どうせ家にはニャン太もおるけぇ。まぁ喧嘩せんようにだけ見ときんさいね」
ニャン太とはこの家に飼われている犬である。
猫ではなくれっきとした犬。何故ニャン太なのかは不明。
白い毛並みが綺麗なポメラニアンなんだけど……
おばあちゃんが行ってしまうと、お兄ちゃんはピョンと私の腕から飛び下りてしまった。
「ニャン太探すぞ!」
「お兄ちゃん?」
「アイツの名前つけてやったの俺なんだよ」
嬉しそうな声で話すお兄ちゃん。
……お兄ちゃんの仕業か。
ちょっとニャン太が可哀想……