お兄ちゃんは悪魔サマ
肌を重ね合わせるのは、もちろん初めてじゃない。
だけど、抱きしめた唯の胸元から速い鼓動が伝わってきて、俺まで緊張してくる……
「不思議だね……陵は悪魔なのに、ちゃんと鼓動を感じるなんて」
「まぁな。普通に生活してたら、自分が悪魔だなんて忘れそうになる」
だからこそ、現実の残酷さをより一層感じる……
悪魔の存在意義。魔界に行けば解るかもしれない。
悠哉が言ってたように、何か手がかりがあれば……
「陵……?難しい顔して、どうしたの?」
「あ、悪い。ちょっと考え事」
「……今は私の事だけ考えてて」
そう言って唯は俺にキスをしてきた。それに答えるようにキスを深める。
顔を口から下にずらすと首にたった1つ、真っ赤な印をつけた……
最初で最後になるかもしれないキスマーク。
確かめるように撫でると、それに反応するかのようにビクッと唯が体を動かす。
「んっ……くすぐったいよ」
「可愛い……」
そのまま近くにある突起を口に含むと、唯から甘い声が漏れだす。
その声をもっと聞きたくて、より激しい刺激を与えていく。
唯の体も声も、全てを記憶に刻みつける為に――