お兄ちゃんは悪魔サマ
唯の体の至る所にキスの雨を降らし、啄み、味わっていく。
俺の動き1つでいろいろな声を紡ぎ出す唯。
その声は甘く絡みつき、俺を翻弄していく……
「あっ……お兄ちゃ、んっ……」
「陵だって言ってんのに……」
でも、それも悪くない……
だって俺をそう呼べるのはこの世でたった1人、唯だけだから。
疲れて気を失ってしまった唯の瞼に、優しく口づけをする。
外に目をやると空は白んで来ていて、朝の訪れを告げていた。
唯、兄ちゃん行ってくるな。
少し1人にさせちまうけど、あいつ等もいるし……
「少しだけお別れだ」
浴衣を着せた唯に布団をかけてやり、その寝顔を見つめた。
このまま見ていたいが、そうもいかない……
俺はもう一度、今度は唇にキスを落とすと腰を上げて外に向かい出す。
「お兄ちゃん……」
不意に聞こえた唯の声に振り向くが、起きている訳ではなさそうだ。
ただ、その目に光るものが見えて心が苦しくなった……
近寄って抱きしめたい衝動を堪えると、もう振り向く事はせずにその場を離れた。