お兄ちゃんは悪魔サマ
吹っ飛んだお兄ちゃんを冷やかな目で見下した後、ハッと我に返って先輩に話しかけてみる。
「先輩!先輩!!大丈夫ですか?」
先輩の奥に見える生徒会長は、さっきから固まったまま。
この場合は……ご愁傷様?
あっ、今は先輩が先!
「先輩、先輩!!」
「あ、ああ……」
「大丈夫ですか?」
「何で、唯が2人……?」
「えっとぉ……」
変身したお兄ちゃんだなんて言えないし、かと言ってこんなあり得ない状況……
どう説明しろって言うのよー!
お兄ちゃんのバカッ!!
「あのですね……。ん?先輩?先輩!!」
先輩が止まってる……
というか、周りの時間が動いていなかった。
風もなければ、鳥は空の同じ場所に留まってる。
「どう……なってるの?」
まさかお兄ちゃん!?
それしか考えられず、私は倒れたままのお兄ちゃんに近寄る。
頬っぺツンツンしてみても、反応はないままだった。
「少し、やり過ぎましたね」
突然、上から聞こえてきた声に思わず見上げた。
そこには天使と見紛う位の色白、銀髪、青い瞳をしたの美形の悪魔がいた。