お兄ちゃんは悪魔サマ
「……やっぱこの空気は好きじゃねぇな」
魔界に来る事はイグルスでさえ、あまりないと言っていた。
俺がここに来るのは2回目……
今どこにいるかさえ解らない。
見渡す限り広がるのは、荒野。枯れた木々、独特な形状をした岩などがあちらこちらに散らばっている。
足元にはさらさらとした砂が敷き詰められている。砂漠なんかと違うのは、砂に混ざる無数の骨がある事。
「最悪だな……ここがどこかは解んねぇけど、ハズレなのは間違いなさそうだ」
人間界に動物がいるように、魔界には魔物がいる。
違うのは魔物はほとんどが大型で狂暴だって事…
そんな奴等の骨がこんなにあるってコトは、まぁそれだけこの辺りに生息してるって訳で。
「とりあえずここを離れるか」
「……っ!」
俺じゃ強い魔物にはまだ太刀打ちできねぇし。
こんな事になるなら、もっとイグルスにいろいろ教わっときゃ良かった……
「陵さんっ!!」
「何だよ。今いろいろ考え……て……。はぁ!?な、何でお前が居るんだ?」
びっくりするのも当然。
何故か隣には紗香って少女がいたんだから……
確かコイツ、魔界に来れる以外は何も出来ないとか言ってなかったか……?
俺、大丈夫かな……