お兄ちゃんは悪魔サマ
「……俺もソイツには会えるのか?」
「会ってどうすんだよ。何も変わんねぇぞ?下手したらその場でお前ごとき、すぐ消されちまうかも」
「……多分、平気だ。だから連れてって欲しい。その魔王とか言うヤツの所に」
「まぁ、俺は別に構わんが」
イグルスは1つため息をつき、八城は煙草を吸い出した。
ってかこんな所で煙草かよ……
「陵、もし本気ならば急ぎましょう。魔界と人間界では多少時間の流れに誤差がありますから」
「……イグルスは反対しないのか?」
「した所で無駄だと解っていますから。伊達に、ずっとそばに居たんじゃないんですよ?」
そう言ったイグルスは、やっぱりどこか表情が曇っている様に見えた。
心配ばかりかけて、すまない……
「あのぉ……」
俺達の神妙な空気を壊すかの様な、のほほんとした声を出したのは紗香(しか居ないが)
「お前帰ってもいいぞ?聞いた通り、今から向かう所は安全とは言い難いし」
「あ、違うんです。そうじゃなくって」
「どうした?」
「私、ここを知ってる気がします。そしてあなたの事も……」
紗香がゆっくり指差したのは八城だった。
しかもここを知ってる?
やっぱり、コイツにも何かありそうだな……