お兄ちゃんは悪魔サマ
*父親*
おばあちゃん家で朝目が覚めると、やっぱりお兄ちゃんの姿はもうなかった。
微かに残るお兄ちゃんの匂いを確かめるように、自分自身を抱き締め涙を堪えた……
その後も駆け足で何人かの会いたかった人達と、少しの時間を一緒に過ごした。
お兄ちゃんが居なくなってもう5日。私に残された時間は残り3日になっていた――
私が今も悩んでた事。
それはお父さんに会いに行くべきかどうか……
でも、もうあまり悩んでる時間はない。
今の私はお父さんの居場所さえ知らなかった。
お母さんに聞いてみようかな……
会いに行くかどうかは別として、一応……ね。
でも、お母さんはお父さんの話しをするのをとにかく嫌がった。
あんな人の事なんて、思い出したくもないって……
私はその日の夜中、リビングを片っ端からしらみ潰しに探し、手掛かりになりそうな物を集めた。
「これ……かな?」
見つけたのは住所だけが書かれた一枚の紙切れ。
確信はなかったけど、ぐしゃぐしゃにされた紙を見てこれだなって感じた。
……とりあえずこの家まで行ってみよう。
そこでも会いたいと思わなければ、会わなきゃいい。
けれど、この行動すら決められた運命の一つに過ぎなかった――