お兄ちゃんは悪魔サマ
「本当にここ……?」
私は、あのぐしゃぐしゃのメモの住所を書き写した紙を片手に、立ち尽くしていた……
一度も降りた事のない駅。
駅や道路にある地図を頼りにここまで来れた。
そして目の前に広がるのはでっかい家。屋敷と言うべきか……
「……いい歳して、×1のくせして逆玉?」
そう思わずはいられない程だった。
そして、お父さんに会う気は完全に失せた。
と言うか今さら何を期待してたんだろ……
まぁあんなんでも、一応昔はちゃんとお父さんしてたからかな……
「あの、うちに何かご用でいらっしゃいますか?」
「えっ!?」
突然の声にびっくりして振り向くと、そこには私より少し年上に見える綺麗な女性がいた。
「あ、いや、私は別に……」
「あら?あなたもしかして……唯さん?」
「へっ!?な、何で私の事……」
「お義父さまの書斎に写真が飾ってあるのを、お見かけした事があって」
お義父さま……ね。
この人の母親と再婚したんだ……
新しい家族が居るのに、写真飾るなんてバカじゃないの。
まぁ、私にはもう関係ないけど。