お兄ちゃんは悪魔サマ



電話が終わり、こちらを向いた男はあからさまにホッとした顔をしていた。




「お前、命拾いしたな」

「どういう事……?」

「お前にも人質の価値があったって事だろ。若干報酬は減るけど仕方ねぇ」



私に人質の価値がある?

お母さんにはそんなお金はない。
もしかして……お父さん?

ううん、まさか……まさかね……



どんなに考えたってその可能性しかないのに、私の思考はそれを頑なに拒んだ。

お父さんはお父さんであって、お父さんじゃない……








「あの……今、何時?」

「あ?今?夜の10時前だな」

「10時……」














残りの時間は、


1日と19時間――



 
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