お兄ちゃんは悪魔サマ
 


イグルスと呼ばれた悪魔さんは、ため息をついて話し出した。




「陵……あなたはこちらに来てから必要最低限しかエネルギー補給をしていませんね?」

「…………」

「エネルギー?必要最低限って、どういう事……?」



何も答えないお兄ちゃんに代わり、疑問に思った事を聞いてみる。




「人間も生きる為には食事をとるでしょう?それと同じで、行動したり魔力を使うのには相応のエネルギーが必要です」

「ちょっと待って。必要最低限しか取ってないって言ってましたよね?もし、エネルギーがなくなってしまったら……?」

「魔力がなくなると動けなくなり、そこで悪魔契約は強制終了です」




そんな……

でも、悪夢のエネルギー補給ってどうするんだろ……?
お兄ちゃんは何故補給をしないんだろ……?


そんな疑問が湧いてきて、お兄ちゃんを見つめる。




「イグルス、余計な事ペラペラ喋っていーのかよ」

「乗りかかった何とやら……ですよ。陵の唯さんに対する想いは、理解しているつもりですから」

「あのっ!イグルス……さん。エネルギー補給ってどうするんですか?お兄ちゃんにそれをさせるには、どうすればいいんですか?」




悪魔になってもダメダメでワケ解んないお兄ちゃんだけど、私の為に何かをしてくれようとしてるのは解った。

だから私もお兄ちゃんの助けになりたい。
自然とそう思えた。



 
< 22 / 288 >

この作品をシェア

pagetop