お兄ちゃんは悪魔サマ
……さすがに親父に迄、姿を見せる訳にはいかねぇよな。
っつか、今会ったら親父をぶっ飛ばしちまいそうだ。
「陵〜ここまで来たのはいいけど、これからどうすんだよ?」
「…………」
「なぁなぁ。あと1日ちょっとしか時間、残ってないよな?」
「黙れ」
んな事、尚哉に言われなくても百も承知している。
この東条邸の中にはたくさんの人がいた。
警察の奴らが。
悠哉と尚哉を少し離れた所で待たせ、猫の姿で偵察しにいって得た情報。
それは親父が唯の為に、犯人が要求する身代金を支払うって事。
たったそれだけ。
要は犯人たちの正体や居場所なんかは、警察側にも全く解ってないってこった。
「陵さん……こんな時に何なんですが、魔界に行って解った事、俺らにも教えて貰えませんか?」
「ホンット、こんな時に何言ってんだよ?時間がないんだぞ?」
「じゃあどうするんですか?闇雲に探しますか?それこそ時間の無駄だと思いますが」
「それは……。でも、探さねぇと唯はこのまま……クソッ!!」
焦れば焦る程、何をしたらいいのか解らなくなる。
ここで時間を使ってまで、話す事に意味はあるのか……!?