お兄ちゃんは悪魔サマ
「俺は大丈夫だ。それより、無駄なエネルギーも時間も使ってる暇はねぇ。急ぐぞ」
「……解りました。急ぎましょう」
「仕方ねぇな。無理して途中で消えたら、笑ってやるからな」
尚哉に一発げんこつを食らわせ、さっき見つけた屋敷の方角に向かう。
空から見る分には近かったように思えたが、実際はかなり距離があり、屋敷に着くまでに裕に一時間はかかった……
尚哉は俺が殴った事にブツブツ文句を言い、悠哉は何やらずっと考え込んでいた。
「うわっ、何か出そうじゃねぇ……?」
尚哉の言葉の通り、改めて近くで見るとその不気味さは尋常ではない。
絶対に幽霊屋敷と呼ばれていたり、その手の噂が流れていそうだ。
「俺さぁ、幽霊とか苦手なんだけど……」
「尚哉、ハンターのくせに情けない事を言うな。こっちには悪魔も居るんだし」
いやいや、俺も幽霊の類いは苦手なんだけど……
悪魔になれなかった者、悪魔の契約を蹴った者。
幽霊にもいろんな奴らがいる。
害のない幽霊なら別になんて事はないが、いわゆる悪霊は質(タチ)が悪いのが多い。
「まぁ今のところ、この屋敷からそんなもん感じねぇから大丈夫だろ」
そう、幽霊は本当に居なかった。
でも俺の力が弱っていたせいか、肝心な事にも気づけていなかったんだ……