お兄ちゃんは悪魔サマ
 


「簡単な事ですよ。精気をあげて下さい」

「セイキ……?」



さっぱり理解出来ない私に、イグルスさんはそっと耳打ちしてきた……




「ぜ、ぜ、絶っっ対無理ー!!」



何かの漫画でこんなの読んだ事ある。吸血鬼だか悪魔だか知らないけど、精気を糧にどーのこーの……

だけど、そんなんがパワーになるってどうよ!?おかしくない!?




「でもこのままだと陵が危ないですよ?」

「うっ……。それって私じゃなきゃダメなの?」

「いいえ。別に誰でも」

「な〜んだ!私じゃなくてもいいなら……」

「俺はヤダ」

「だ、だってお兄ちゃんはお兄ちゃんな訳で、私は妹で……」



私の声を遮ったお兄ちゃんは、苦虫を噛み潰したような顔をしている。




「はぁ……。だから今まで言わなかったんだよ。いくら死んで悪魔になったって、俺は唯の兄ちゃんだからな」

「お兄ちゃん……」

「それに、何つーかそんな事しちまったら歯止めきかなくなりそうだし。さすがに実の妹にそれはヤバいだろ。本当の変態になっちまう」

「でも、このままじゃお兄ちゃんは……」

「気にすんな。どうにかなる!」




お兄ちゃんはあっけらかんと言い放ったけど、イグルスさんの表情は暗い。

やっぱりどうにかなるって問題じゃ、ないんだよね……?



私は暫く考え込んだ。
そして出した結論……





「……わかった。ちょっとだけなら協力する」



 
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