お兄ちゃんは悪魔サマ
†陵side†
どの位の時間がたっただろうか。尚哉だか悠哉だかの寝息が聞こえてきた。
まだ……もう少し早いな……
尚哉と悠哉が帰って来て、少し楽になったのを確認したあと、すぐに猫型に変わっていた。
時間までは動く必要はないし、猫の方がエネルギー消費が少ないからだ。
最初から猫になってれば良かったのに、と言うのは無理な話だ。
そんな事を考えられない程、一生懸命だったんだからな。
断じて忘れてた訳じゃない……
「陵さん、2時を回りましたよ」
「まだ起きてたのか……」
「尚哉と違って、こんな所で熟睡出来る神経は持ち合わせていないんで。でも休めてるので大丈夫ですよ」
「そうか」
2時……
少し早いかもしれないが、ここに居ても結局気になるだけだ。
俺は悠哉にそっと近づき、話し出した。
「今から行ってくる。もし、朝の6時になっても俺が帰って来なければ、何かアクシデントがあったと思ってくれ」
「その時はどうすれば?」
「いいか、唯の気を感じるのはあっちの方角だ。このだだっ広い屋敷の敷地内で間違いないだろう」
天窓から月明かりがほんのり部屋を照らす中、その方向を指……手差す?
とにかく右手をその方向に突きつけて、悠哉に教えておく。
真剣な眼差しをしているつもりだが、どうにも猫だと緊張感に欠けるな……