お兄ちゃんは悪魔サマ
「悠哉……お前、唯の事どう思ってる?」
「……愚問ですね。聞かなくたって陵さんが一番、解るんじゃないんですか?」
「最後にちゃんと、お前の口から聞いておきたいんだよ」
「最後って……そんな縁起でもない事、言わないで下さいよ」
消える事に抗おうとしてみたり、諦めたてみたり。
そんな風に気持ちが揺れ動く中でも、1つだけ変わらなかったもの。
それは、唯を守りたいという気持ちだ。
唯の命を守るだけじゃない、命が助かってこれから歩むであろう長い人生。
その苦しみからも、守りたい……
「いいから聞かせろよ」
俺は少し強めの口調で、悠哉の言葉を促した。
別に唯と悠哉が結ばれればいいなんて、思ってはない。
だって、俺は唯を愛しちゃってるからな。出来れば誰にも触れさせたくないし、誰にも渡したくない……
でも、それでも俺たちは兄妹。もし、俺が消えずに済んだとしても、それは変わらない現実。
……ってその前に人間じゃねぇし。
唯には、共に生きていけるヤツが必要なんだ。そして、それは俺じゃない……
「唯の事……愛してますよ。あれだけ真っ直ぐに人を愛せる唯は、本当に強くて美しいと思います」
美しい……そうだな。
見た目云々じゃなくて、心が……魂が美しいんだろう。
悠哉……その答え、合格だ。