お兄ちゃんは悪魔サマ
敷地の更に奥、鬱蒼と木々が生い茂る中にそれはあった。
何とも雑な造りの、倉庫とでも言うのだろうか。
でも、肝心の窓がどこにもない……
「どうやって唯を確認したんだ?」
「俺の能力だよ。透視能力」
「八城……お前、便利な能力持ちすぎだろ」
「あ、紗香にも見えますよ?」
「…………チッ」
俺は思わず舌打ちを打った。
まぁこいつ等は悪魔の中でもちょっと特殊な事が解ったから、仕方ないのかもしれねぇけど。
やけに強くて、普通の悪魔じゃ持ち得ない能力を持つ八城。
そして、悪魔になりたてのくせに魔界に行けちゃったり、透視が出来ちゃったりする紗香。
こいつ等には秘密がある。
それは魔界で明らかになった……
八城はもともと知っていたようだが、紗香は初めて知った事実に驚いていたっけな。
「ってか、まさかイグルスにも見えるとか言わねぇよな!?」
「言いませんよ。私は2人とは違って、ただ長いだけの悪魔ですから」
イグルスの言葉に、少しだけホッとする俺。
だって俺だけ見えなかったら、出来そこないみたいじゃん……?
八城と紗香の秘密。それは……