お兄ちゃんは悪魔サマ
 


俺の前に居た唯が何かに押される様に、俺の方へと倒れこんで来た。

それを受け止めようとするが、自分の体に感じる違和感がそれを許してはくれなかった……



悪魔だって痛みは感じる。

腹部に感じた強烈な痛みによって朦朧とする意識の中で、唯も打たれたのだと認識するのに時間はかからなかった。




「おに……ちゃ……」

「……唯、ごめ……」



俺は結局守ってやれなかったのだ。自分のすべてを賭けて、助けるつもりだったのに……

唯を助ける事もできず、自分もこのまま消えて行くのだろう。何と情けない事か……



でも、意識を手放しそうになった俺にある光景が飛び込んで来て、あまりのショックに一瞬痛みさえ忘れてそれを凝視した。

唯を受け止めようとして、一緒に後ろに倒れながら見た驚愕の光景……










それは、ライフル銃をこちらに構えたイグルスの姿……











どういう事だ……?

何故イグルスが……?

夢……?幻……?









倒れゆく俺達を見て、ニヤリと笑ったイグルス。




それを最後に、俺の意識は途切れた……







 
< 243 / 288 >

この作品をシェア

pagetop