お兄ちゃんは悪魔サマ
「お前なんかに諭されるなんて、すっげぇダメ悪魔になった気分」
「てめぇ、それ失礼だぞ……」
「はは、悪ぃな。んで、悪いついでにもう1つ。俺を唯のところまで連れてって欲しい」
煙草を吸い終わったのか、八城は近くのテーブルに置いてある灰皿に吸殻を押しつける。
そして、俺の目の前まで近づいて来た。
「連れてくくらいなら、いくらでも手伝ってやるさ。ただ、イグルスの事はお前が自分で見極めろ」
「見極める……?」
「何故、アイツがこんな行動を起こしたのかって事」
「……ああ。イグルスとはちゃんと向き会わないと、消えても消えきれねぇ」
例えイグルスにどんな理由があったにせよ、唯と俺を撃ったのは間違いなく事実……
だからこそ逃げてちゃ駄目だ。
「イグルスは俺にとって、ある意味かけがえのない存在だった。悪魔になる時からずっと親身に世話してくれて、唯の事も相談に乗ってくれて……」
「でもアイツは裏切った」
「……もしかしてさ、お前がずっとイグルスと一緒に居たのって、何か感じてたからか?」
「……ま、良からぬ事を企んでそうだなぁ~ってのは何となくな」
コイツが言うと妙に説得力がある。
何せ、八城もいつもろくでもねぇ事考えてそうだからな。
特に、女とか女とか女とか……