お兄ちゃんは悪魔サマ



「お前なんかに諭されるなんて、すっげぇダメ悪魔になった気分」

「てめぇ、それ失礼だぞ……」

「はは、悪ぃな。んで、悪いついでにもう1つ。俺を唯のところまで連れてって欲しい」



煙草を吸い終わったのか、八城は近くのテーブルに置いてある灰皿に吸殻を押しつける。

そして、俺の目の前まで近づいて来た。




「連れてくくらいなら、いくらでも手伝ってやるさ。ただ、イグルスの事はお前が自分で見極めろ」

「見極める……?」

「何故、アイツがこんな行動を起こしたのかって事」

「……ああ。イグルスとはちゃんと向き会わないと、消えても消えきれねぇ」




例えイグルスにどんな理由があったにせよ、唯と俺を撃ったのは間違いなく事実……

だからこそ逃げてちゃ駄目だ。




「イグルスは俺にとって、ある意味かけがえのない存在だった。悪魔になる時からずっと親身に世話してくれて、唯の事も相談に乗ってくれて……」

「でもアイツは裏切った」

「……もしかしてさ、お前がずっとイグルスと一緒に居たのって、何か感じてたからか?」

「……ま、良からぬ事を企んでそうだなぁ~ってのは何となくな」







コイツが言うと妙に説得力がある。

何せ、八城もいつもろくでもねぇ事考えてそうだからな。


特に、女とか女とか女とか……


 
 
< 248 / 288 >

この作品をシェア

pagetop