お兄ちゃんは悪魔サマ
「イグルス、答えろよ!!何故俺と唯を撃った!?何故わざと撃たれた!?俺は……お前のしたい事が解らねぇよ……」
「私は、殺す……つもりで撃った……それが、失敗した……だけの事……」
「だから言っただろ?そんな嘘は通用しねぇって……」
それから何度同じ質問を繰り返しても、イグルスは頑なに口を開こうとはしなかった。
そうする間にも、イグルスの体からは力が抜けていく……
もう永くはない事は、俺の目から見ても明らかだった。
だからこそ、最期にイグルスの口からちゃんと聞きたかったんだ……
だが、それは叶わぬ夢となって消えた。
俺の腕の中で、イグルスの体の重さがどんどん失われ、その姿さえ薄くなっていった。
それを、どうする事も出来ないまま見つめる俺の目の前で、とうとうイグルスは消滅してしまった――
しばらく呆然とした後、フラフラになった体を起こして俺は唯の元へと向かった。
俺もいつ消えてもおかしくない状態だったにも関わらず、火事場のバカ力っつーのか解らないけど、奇跡的に唯の所まで辿りつけた。