お兄ちゃんは悪魔サマ
 
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「お世話になりました」



あれから3か月もの入院生活を経て、やっと退院となった。

お父さんもお見舞いに来てくれて、何故か再婚相手の娘である沙希さんも一緒に居た。


どうやら私がお父さんに会いに行って、沙希さんの代わりに誘拐されて撃たれたらしいんだけど……




私にはその辺りの記憶がなかった。
病院の先生は、誘拐された恐怖と撃たれたショックからだろうなんて言っていた。

でも、どうもすっきりしないんだよね……




「唯、帰りましょう」

「あ、うん。学校にはいつから行ってもいいの?」

「体育なんかの体を使う授業はまだ見学の方がいいけど、普通の授業に出るだけならもう良いって先生は仰ってたわよ」

「解った!ちゃんと勉強追いつけるかなぁ……」



ある程度体が回復してからは、先輩が病室まで来て勉強を教えてくれたりもしてた。

だけど、大抵尚哉くんが一緒についてくるもんだから、たいして進まなかったんだよね。


それでも、ちょくちょくお見舞いに来てくれた2人には感謝してるけど!




担任の先生なんかも来てくれたけど、何故か保健の八城先生まで来た時はビックリ!!

でも、八城先生が言ってた事が少し……ひっかかる。



『お前を守る風は、いつもお前の傍で吹いてる』



だって。

例えが抽象的すぎて、結局何が言いたかったのかよく解らなかったんだけど……





でも、私を守る風って……?



 
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